音楽のポピュラリティとその価値

Course Type: Lecture
Study Focus: VMC
Term: Fall

Teacher: TANIGUCHI Fumikazu

Course Code: JK39004

多くの人が身近に慣れ親しんでいるという意味で、音楽はポピュラーな文化の一つである。


しかしその身近さゆえか、音楽がどうして多くの人を惹きつける価値を持つのかをとらえようとしても、「カッコいい」「癒やされる」「共感できる」といった漠然とした思考に陥ってしまいがちである。
そこで本講義では、こんにちの音楽が帯びる「ポピュラーなもの」としての価値のありように分け入り、上記のような感覚をより詳細に言語化していくことを試みる。

本講義では特に、音楽のポピュラリティという問題ついて、メディアの作用(mediation)という切り口から検討する。音が人間にとって根源的なコミュニケーション・メディアであると同時に、はかなく消えてしまう音を記録し広めるメディア(楽譜や録音、放送、インターネットetc.)があり、音楽はその二重のメディアの上に成り立つ表現である。この構造の中で音楽の価値や聴覚的・身体的経験がどのように媒介されているのかに着目する。


Course Information

Module: Research and Advanced Studies
CATS Requirements: BA 2nd year or above

Day/Period: Fri/ 3
Location: Lec. 3
Credits: 2

第1回 導入: メディアから見た音楽のポピュラリティ
第2回 メディアにおける聴覚性の問題
第3回 音楽の客体化と作品概念
第4回 複製技術と音楽の商品化
第5回 録音技術の歴史(1): 初期の録音体験
第6回 録音技術の歴史(2): レコード産業の成立
第7回 録音技術の歴史(3): あらゆる音を音楽にする試み
第8回 美的概念としてのサウンド(1): 理論化をめぐる問題
第9回 美的概念としてのサウンド(2): 拡張される身体
第10回 美的概念としてのサウンド(3): リアリティの変容
第11回 レコード音楽とライブ音楽の相互作用
第12回 レコード文化における音楽体験の多様性
第13回 脱パッケージ時代(1): ビジネスモデルの変化
第14回 脱パッケージ時代(2): レコード/ライブの再編
第15回 全体のまとめ


Course Goals

・音楽をメディア文化の一種として理解できる
・音の聴覚性や身体性を経験の構造という側面から考察できる

Course Schedule and Evaluation

For a detailed course schedule, please visit KULASIS.

授業内小レポート 60%
最終レポート 40%